オーストラリアでは全ての労働者にタックスファイルナンバー(納税者番号)の取得が義務付けられており、この番号を元に雇用者から労働者に適切な賃金とスーパーアニュエーション(年金)が支払われたかを調査できるようになっています。
フルタイム、パートタイム、カジュアル等の雇用形態の場合、所得税は源泉徴収により給与から差し引かれ、税引き後の金額が支払われるのは日本と同じですね。
こうした雇用契約ですと雇用主には最低賃金の順守や年金の支払い義務があるため、この負担を避けたい雇用主から持ちかけられるのが雇用契約ではなく請負契約。
個人事業主として労働者にオーストラリアビジネスナンバー(ABN)を取得させ、請負として仕事をさせる方式です。
こうした請負契約の場合、最低賃金の適用を受けないほか、仕事の発注者(実質的には雇用主)には年金の支払い負担がありません。
一方、税金は源泉徴収されないため労働者(請負者)には税引前の全額が渡ります。正しくは確定申告により納税しなければいけませんが、これをせずに脱税する行為も横行しており、「税金を払わなくていい契約方法がある」などと言ってABN取得を持ち掛けてくる雇用主の言葉に煽られたり騙されたりして、こうした脱税・違法行為に関わってしまうことのないよう注意することが重要です。
なお、オーストラリアでの確定申告(タックスリターン)は義務であり、手続きをしない場合には罰金が課されます。
ちなみに、税金や罰金などを未払いのまま帰国した場合、逃げ得できるように勘違いしているケースがありますが、オーストラリアのビザ申請の際に「オーストラリア政府ならびに公共機関に対し、未払いの負債がありますか?」という問いがあったことを思い出してください。
政府機関でのデータの電子管理が進んでいるオーストラリアでは入国管理当局と税務当局(ATO)のシステム間での情報共有が行われており、こうした過去の脱税行為によりブラックリスト登録を受ければ今後のビザ申請・入国が拒否される可能性があるのです。
Nacky@オーストラリア