ワーキングホリデー制度を利用して国外から若い労働者を集めていたオーストラリア。しかし、国内景気減速の影響を受けてその方針が大きく変わろうとしています。
変化するオーストラリアにおけるワーキングホリデーの現状について5回にわたってレポートします。
オーストラリアを訪れる旅行者が一様に驚くのは、その物価の高さ。経済成長に伴う物価上昇に加え、一時期ほどではないにせよ、資源高によるオーストラリアドルの高騰もあって他国通貨換算での物価は更にこれを大きく上回るものになっています。そしてこの物価上昇の主な原因となっているのが主に人件費の高さです。
オーストラリアの賃金体系はフルタイム、パートタイム、カジュアルの3つの形に大別されます。
フルタイムとはその名の通り一般的な雇用契約で週38時間以上働く場合。一方、38時間以下の雇用契約はパートタイムに区分されます。どちらも正規雇用として安定した労働時間と給与が保証され、有給休暇などの権利が認められています。
日本語でのアルバイトに相当するのがカジュアルと言えるでしょう。週あたりの勤務時間は保証されておらず、有給休暇もありません。一方で1時間あたりの時給は高く設定されています。
では、具体的に賃金がどのように設定されているのかご紹介しましょう。国で定める最低賃金は職種や年齢、習熟度、時間、曜日等によって実に細かく定められています。今回はそのうちハンバーガーショップの店員さんなど、ファストフードでの賃金を例にします。
最も習熟度が低いレベルにカテゴリーされた21歳以上の正社員(フルタイム、パートタイム)の場合、最低賃金は18.52ドルでおおよそ1,750円ほど(2015年5月のレートを元に1豪ドル=95円で換算)。
一方、同じ習熟度でアルバイト(カジュアル)の場合では23.15ドルでおおよそ2,200円。夜になると高くなり午後9時以降午前0時までは25ドル、0時以降翌朝6時までは25.93ドルです。土曜日は27.78ドル、日曜日は32.41ドル。そして祝日にはなんと50.93ドル、おおよそ4,840円です。もちろんすべて時給です。
かつてのワーキングホリデーはお金を貯めてから出発し、現地でのアルバイトは滞在費の足しにする程度と言われていました。
しかしオーストラリアに限っては逆にワーキングホリデーに行き、アルバイトをしてお金を貯めて帰ってきた、というケースが見られるようになってきたのです。
高い人件費が物価高に直結している様子がこういった数字からもうかがい知ることができます。
Nacky@オーストラリア