ドイツの労働環境については、簡単に語り切ることは出来ませんが、今回は筆者が実際に働いてみて感じたことをお話しします。
基本的な仕組みは日本と似ています。労働者には健康・社会保険がつき、毎月給与から天引きされます(累進課税)。労働時間はフルタイム・パートタイムがあり、接客業以外ではフレックスタイム制のところも多いです。
さて、筆者が一番驚いたのは病欠と有給について。
日本で病欠する場合、ほとんどの場合有給が使われますよね。しかしドイツは違うんです。病欠と有給は全く別物。たとえば風邪で熱がある場合、私たちは仕事を休んで医者に行きます。そして医者がサインした書類を提出すると、会社は病欠を認め、通常給与を支給します。有給は使われません。(病欠が長期に渡る場合は、途中から給与ではなく健康保険会社からの保険金が支給されます。)
続いて有給。有給は皆ほぼ全て取得します。フルタイムで働く場合は年間最低24日の有給が保証されており、中には有給40日という企業も。羨ましい話です。
その他、誕生日休暇など素敵な制度を儲ける企業も多いんですよ。一年でいつ有給を取るか(一般的に多くの人が3〜4週間の連休を取ります。)、しばしばドイツ人はその話をします。『人生楽しまなきゃ。』『仕事はきちんとやる。休みはきちんと遊ぶ・休む。』その意識が本当に高く、当たり前です。日本のように、有給を取る際なんとなく後ろめたい気持ちになるという人は見かけません。
産休や育休の制度もあり、その保証も日本と大変よく似ているのですが、こんな面白い話があります。”一人の従業員女性が、4週間有給を取るつもりだったが、体調が悪く3週間病欠した。その為有給を3週間ずらして取得。そのあとすぐ産休に入り、結果的に随分と長休暇(3週間病欠+4週間有給+産休)になった。” 嘘のような本当の話です。
こう書いてみると、ドイツは素晴らしい環境だと思いますが、問題も抱えています。地域間での給与格差や外国人雇用など、しばしばテレビのドキュメントで放送されています。私の知り合いのドイツ人は、「看護師や老人ホームのスタッフ、ソーシャルワーカーの給与は比較的低いんだ。大切な大変な仕事なのに残念なことだよ。だからドイツ人の求職者が少なくて、外国人従業員が多いんだ。」と言っていました。
ドイツで仕事をして生活するならば、自分の労働環境はもちろん、ドイツの労働問題にも目を向けて考えることも大切ですね。
ライター:yodan@ドイツ