フランスワーホリ
今日は、フランスのレストランで人事採用に携わる方々から伺ったお話について書いてみたいと思います。

まずはレストランの経営者(フランス人)の方のお話です。

ある日料理人を募集するために勤務地、職務内容、求める人材像等を表記した求人情報を新聞やインターネット上に掲載したところ、その日から彼の元には毎日数十通のメールが届き始めました。中には日本人の方からの応募も複数あったそうです。

しかし、このポストに立候補する日本人とフランス人のアプローチ方法には大きな違いがありました。フランス人が最初のコンタクトで自己アピールのメッセージに加えて履歴書を添付してくるのに対し、日本人からのメールは求人情報に対する詳細(給与、勤務期間・時間、ワーホリ・学生ビザOKかどうか等)を教えて欲しいといった内容で履歴書を添付してきた人は皆無だったそうです。

確かに日本の求人情報を見るとこと細かな事項まで明記されているケースが多く、応募する側も自分の希望に見合う条件かどうかを考慮したうえで応募することが可能です。

しかしここは高学歴でも就職先が見つからない、失業者数も依然と多いフランスです。自己アピールなしに単に詳細の問い合わせメールをしたのではたとえその人が素晴らしい人材であったとしても次のステップに進むことは出来ません。

この経営者は「自分はどんな人物でどんなことが出来るのか、また自分が働くことでうちのお店にどんなことをもたらすことが出来るのかを語ることなしにいきなり給与を聞かれても…」と苦笑していました。

毎日莫大な数の履歴書を受け取っているのですから、このような問い合わせのメールにその都度丁寧に返信する時間をとることは出来ません。

しかもこのお店では、即戦力になるような人材を早急に見つけようとしていたのでなおさらです。結局この経営者は履歴書と一緒に自己アピールのメッセージを送付してきた人達の中から数名を選出し面接を実施、最終的に採用する人物を決定しました。

別のレストラン(ミシュラン2つ星)のフランス人シェフは、こんなことをお話してくださいました。

近年ワーホリビザのおかげで、このビザを取得してフランスにやってくる日本人にとっては(初めから労働が可能なビザを持っているという点で)フランスである意味仕事に就きやすくなったかもしれないが、雇う側の人間としては必ずしもメリットばかりではないというのです。

日本で働いていた経験もあるこのシェフは日本人の仕事ぶりを高く評価しており、彼のお店でもこれまでに日本人の料理人を雇ったことが何度もあるものの、その数はだんだんと減ってきていると言うのです。

理由は、昔は住むところと賄いを提供するだけでたとえ低賃金(無給)であっても修業したいと言って全力で働いてくれる日本人は貴重な存在であったが、現在となっては法的な面で縛られることが多くなり、法律で定められた最低賃金(時給で9,61€2015年現在)を外国人であろうが他のフランス人の従業員同様に払うことが義務付けられ、昔のように良い人材を安く雇うことが出来なくなってしまったことにあります。

このご時世、フランスで修業したいという熱意だけで採用してもらうことは困難を極めます。しかもワーホリビザは1年間で更新不可という期限付きビザですし、仕事に就く時点で意思の疎通ができる程度の語学力があるかどうかも重要なポイントになってきます。

フランスで料理修業をお考えの方には参考にしていただければと思います!

たぬき@フランス


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