ドイツは連邦共和国で16の州から構成されています。各州はそれぞれに主権を持ち、教育制度も州の政府が決めているため、その州により若干異なる場合がありますが、今回は一般的なドイツの教育システムを紹介します。

ドイツでは幼稚園を卒園後、6歳で基礎学校(Grundschule)に入学し4年間学びます。日本でいう小学校です。ドイツ語や算数等、基本的な教育がなされ、その成績により次の進路が決められていきます。成績は小数点単位で1,0〜6,0まであり、1がベストです。ちなみにドイツの学校は、4月ではなく9月から始まり、春夏秋冬でお休みがあります。
進学する中学校は3つに分かれており、成績順に『ギムナジウム(Gymnasium)・実科学校(Realschule)・基幹学校(Hauptschule)』があります。

①ギムナジウム(Gymnasium)
カリキュラムは9〜10年制で、大学進学が前提とされてます。日本でいう中高一貫校です。最終的に『アビトゥア(Abitur)』と呼ばれる卒業資格、及び大学入学資格取得を目指し高等教育がなされます。

②実科学校(Realschule)
6年制で、職業専門学校や専門大学進学を目指します。成績上位者はギムナジウム編入試験を受けることもできます。職業系の勉強・実務をメインに、進学するための高等教育もなされます。
大半は職業専門学校に進学し、最終的に事務や専門職が就く人が多いようです。

③基幹学校(Hauptschule)
5年制で、卒業後の進路は就職が前提です。職人を目指す人や成績下位の人が対象で、基本的に職業に関する勉強・実務がメインです。ここからの大学進学は非常に難しく、大半が卒業と同時に働き始めます。

大学には、研究施設の充実した総合大学(Universität)や専門分野に特化した(芸術)専門大学(Kunst- und Fachhochschule)があり、修士号・学士号・博士号を習得することができます。また、職業専門学校にも様々な種類・システムがあり、私は現在『デュアル・アウスビルドゥングス(Duale Ausbildung)』という職業訓練制度を利用しています。企業と雇用契約し、約三年間のカリキュラムで、企業では実践を、職業専門学校では理論を学びます。少しだけお給料も出ますよ^^♪
最終的に試験に合格すると、その職業資格がもらえ、会社に就職することができます。例外もありますが、ドイツでは一般企業で働く場合、この職業資格か大学卒業資格が必要になります。

このように、ドイツの教育制度は一通りではなく、人それぞれ教育コースが異なります。早い段階で進路を選択しなければならず、それが今後の人生を大きく左右するため、この進学決定制度は他国に比べて厳しいと考える人も少なくありません。しかしこの制度は多くのスペシャリストを生み、ドイツの生産性の高い労働環境を作り出しています。

私が実際にドイツの学校に通って感じたのは、『自ら考え表現する力』を重視ししているということ。教科書のデータを理解しまとめるだけではなく、自分の考えを発言し、解決策を導き出すのが授業です。プレゼンテーションや議論は日常で、先生は出された意見に対し『正解・不正解』という解釈ではなく、そこから新しい課題を見つけたりして授業を発展させて行きます。
ドイツ人は議論が大好きですし、その合理的思考や決断力・行動力の強さはこうして培われているのだと実感します。

ライター:yodan@ドイツ


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