ご存知のように、ドイツではEU統一通貨であるユーロが通貨として使われています。
EU結束の証のユーロ。たかが紙幣と言えど、配慮とこだわりがあります。例えば、紙幣に印刷されている絵。ユーロ紙幣は、5ユーロ、10ユーロ、20ユーロ、50ユーロ、100ユーロ、200ユーロ、500ユーロとありますが(200ユーロ紙幣、500ユーロ紙幣については、私はまだ見たことがありません)、その全てに“架空の建造物”が描かれています。
日本であれば、福沢諭吉だったり、平等院鳳凰堂だったり、実在の人物の肖像画や建造物が描かれていますが、ユーロには実在の建造物でなく、各時代の代表的な建築様式の架空の建造物が描かれています。
さまざまな国で使われるため、特定の国をひいきしないよう配慮をしています。
また、表面には建造物の「窓」、裏面には「橋」が描かれていて、EUの結び付きを象徴しています。
余談ですが、ヨーロッパの現代アートには、この「窓」というモチーフが非常によく出て来ます。また、バチカンのローマ法王は、謁見の場で、「社会は、壁ではなく橋を作るべき」と述べたとのニュースを見ました。
「窓」と「橋」はヨーロッパ人にとって、とても重要な意味が含まれるモチーフだということがわかります。

また、偽札・偽造防止の為にも、さまざまな工夫がされています。ユーロ紙幣は非常に分かりやすく額面の数字が印刷されていますが、傾けると、光の筋が入って移動し、緑色から青色へ色が変わっていきます。美しくて、思わずじっと見てしまいます。
さらに、光に透かすと女性の肖像が現れます。この女性は「エウロペ」というギリシャ神話に登場する美しい女王で、ゼウスの寵愛を受けて、雄牛に化けたゼウスにより、ヨーロッパ中を連れ回されてクレタ島に囲われたのだとか。この物語が「ヨーロッパ」と呼ばれる起源になったのだそうです。

ちなみに硬貨はEU加盟国それぞれでデザインが異なります。
表面は統一された額面の表示になっていますが、裏面は製造国によりデザインが違います。
統一するところは統一しつつ、個々の個性は認める…という点は何ともEUらしいなと思います。ドイツ発行のものであれば、東西分割と再統一の象徴、ブランデンブルク門や、ドイツの国章である鷲が、裏面に刻まれています。
ちなみにイタリア発行のものだと、ダヴィンチの解剖図、コロッセオ、ボッティチェリ「ヴィーナスの誕生」のヴィーナスなどが描かれていて何だか華やかです。各国個性が出ていておもしろいですね。
今、手元にある硬貨をまじまじと見つめてみました。ほとんどドイツ発行のものでしたが、これどこの?というものがひとつ混じっていました。
たまにレアなものもあるようで、コインの出所を調べたり、コレクションする人達もいるようです。

そして最後に、私が密かに楽しんでいる、ユーロの各国での呼び方。統一通貨でありながら、各言語圏で発音が違うのです。例えばドイツでは、「オイロ」。初めて聞いた時は、え、オイル?(油)って思いました。
イタリア・ポルトガル・スペイン・フィンランドでは、「エウロ」。フランス・オランダ・ベルギーでは「ウロ」、ギリシャでは「エブロ」。これと挨拶とお礼、数字の1と2の言い方さえ覚えて行けばヨーロッパの他国でも何とか2ヶ月くらいは生きていけるという勝手な持論があります(笑)。

普段はあまり気にしない通貨についてですが、こうしてまじまじと見つめていると、文化的な背景、そして重要な意味や理想を背負っているんだなぁと改めて感じました。

ライター:ミニマ@ドイツ


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