フランスに来てからというもの、自分が日本人であるということをより一層意識することが多くなりました。
またそれと同時に自分がいかに自分の国や文化のことについて無知であるかということを実感させられる場面に何度も遭遇しました。
例えば日本ではタブーとされているような宗教についての会話ですが、フランスで生活をしていて「日本ではどの宗教が主流なの?」「あなたは何教なの?」という質問をされることはこれまでに何度もありました。
私自身は特にどの宗教を信仰しているという訳ではないので、宗教の話になって詳しいことを聞かれると返答に困ることが正直なところしばしばありました。
よくよく考えてみると日本では様々な宗教行事(クリスマス、結婚式、新年のお参り等)が日常生活の中に浸透していて、無宗教の人でも無意識に宗教的行為を行ったりしています。
私は若い頃にクロスがモチーフになったネックレスを付けたりしていましたが、これはファッションの観点からでキリスト教信者という訳ではありませんでした。
日本で生活していた頃はこのような調子で宗教について特に意識もせずに生活していましたが海外に出てからはこれに対する意識が変わりました。
例えば友人達と食事会を開く際には使う食材に注意します。
ユダヤ教やイスラム教の友人が参加する際には、彼らの宗教では食べることを禁じられている豚肉を使った料理は避けるようにしたり、イスラム教の友人がいるときには彼らはアルコール飲料を飲まないのでソフトドリンクを多めに用意したり、カトリックの友人がいるときには金曜日には肉食を避けて魚料理にしたり…日本にいた時にはこのようなことは考えたこともありませんでしたが皆で楽しく食事ができるように私なりにですが配慮しています。
フランスは移民の数が多く、様々な人種や宗教を持つ人達が共に暮らしています。
私はフランスで暮らす者として、この社会に溶け込むためには相手(周りの人達)のこと、その国の言葉、文化を理解することが大切だとフランス生活を通じて感じるようになりました。
同時に日本人としてのアイデンティティーを失うことのないよう、故郷の日本のことについての理解を深める努力も怠らないようにしなくてはならないと思うようになりました。
たぬき@フランス