フランスは、ユネスコ世界遺産がたくさんあります。
去年まで私は、フランスのリヨン歴史地区の「世界遺産」である夫の親戚のアパートに住んでいました。
フランスでは、古いものほど高い値打ちがあります。このアパートは世界遺産認定の観光地。家賃の高い地区にありました。
私と夫のような庶民は借りられるような所ではなく、夫の親戚のおかげで格安で住むことが出来ました。
お金に余裕のある人が世界遺産に住むことは、フランスでは珍しくないようです。
このアパートの内部は、石畳の螺旋階段や古くて重いドア、部屋はリフォームされていますが、一部の床は何千年も前の石畳という歴史を感じました。
また、外を一歩出れば、気軽に歩いて別な世界遺産の梯子も出来ます。
しかし、生活となると世界遺産のアパートは不便のオンパレードでした。世界遺産指定なので、外観を変えてはいけないというルールがあります。そのため、エレベーターがない旧式の細くて古い螺旋階段から荷物の上げ下げをするのは、とても辛いことでした。
また、観光地なので、自家用車を止める場所を見つけるのも困難です。
日本の普通のアパートよりは広いのですが、狭いお手洗いにシャワーのみの生活でした。さらに、世界遺産は、お掃除の義務があるので、早朝の5時に毎朝、石畳の道の上をガラガラとものすごい音でカートを押しながらごみ集めの人が来ます。
続けて、ものすごい罵声と乱暴な音を立ててごみ収集車が来ます。
昼間は景観を守るための工事の騒音と観光客で大騒ぎ、夜は明け方近くまで繁華街なので、酔っ払いが大騒ぎにもかかわらず、警察もいないので治安が悪いです。リヨンのイベントの際には、ものすごい人だかりと爆音が朝から真夜中まで止まりません。
仙台の閑静な住宅地出身の私は、精神的にかなり参ってしまいました。
世界遺産のアパートに住み、自分も歴史の住人になれた「思いもよらなかった貴重な人生経験」でした。けれど、世界遺産は観光だから良いのかもしれません。
Miyabi@フランス