昨年2016年、イギリスがEU(欧州連合)を離脱すると表明したのは記憶に新しいでしょう。政治的、経済的観点から良くも悪くも大きな影響を与えるのがこのニュースでした。
イギリスの離脱によって、今まで日本やアメリカなどの外国企業がイギリスに進出して投資を行ってきたのは、EUとの輸出拠点とするのが大きな目的でした。ただ、EU離脱の関税撤廃により、多くの外国籍の企業がイギリスから退く可能性が出ており、今後のイギリス経済が心配されています。
世界中で、「残留するのが良いのか」「離脱するのが良いのか」はいろいろ議論されていますが、難しい話題です。少なくとも、イギリス自国にとっては良い判断だったと言えるようになってほしいです。
ここで心配になるのが、「ポーランド」に与える影響です。実際、イギリス国内には非常にたくさんのポーランド国籍の人が住んでおり、イギリスに住むポーランド人はインド人の次に多い国籍なのです。出稼ぎや就労、留学が多いです。ドイツに出稼ぎに行くポーランド人も多いですが、通貨ポンドはユーロよりも高いので短期で稼げます。イギリスには一年以上滞在しているポーランド国籍保有者は約85万人にもなります。
以前から、イギリスにおけるポーランドなど東欧諸国への偏見や差別は問題視されていますが、このイギリスのEU離脱によってポーランド人へのヘイトクライム(憎悪犯罪)がより深刻化しています。これによってイギリスを離れるポーランド人が増えており、ポーランドが好きな筆者にとってはなんとも悲しい事実です。イギリスで仕事に就けば、単純に約4倍の給料が貰えるので出稼ぎに行く理由はわかりますね。一般的には、イギリス人がやりたくない低賃金職に就いているポーランド人が多く、それで文句を言われるなんて、なんだか理不尽ですね。
今後、イギリスで働くには労働ビザの取得が義務付けられるなど今まで以上にハードルが上がるかもしれません。そうなればイギリスで生活していくポーランド人にとって大きなダメージを与えることでしょう。
また、将来イギリスのEU離脱によって懸念されることとして、教育費の値上げ、輸入規制、イギリスへの航空券の値上げ、などが挙げられます。正直、同じヨーロッパでこんなにも険悪感情があるのには少し驚きました。イギリス国民の雇用を奪う、治安の悪化など、それぞれが抱える問題や課題があるのですね。
ポーランドが好きな私にとって、この出来事は悲しいことですが、今後の行く先を見守っていきたいと思います。
ライター:Kohei@ポーランド