多くの読者と同じように、筆者も日本生まれ日本育ちなので、日本特有の「区切り」というものを、ずっと意識してきました。 小学生の時は、「もう高学年なんだから、低学年のお手本になるように行動しなさい」と言われ、中学生に上がると「もう中学生なんだから」や、「受験に勝ち抜いぬくためには云々」と言われ始め、高校生になると、理屈では説明できない「校則」というものが存在し、縛られながらも「義務教育ではないのだから、自分で考えて行動するように」と言われ、大学生にもなると「もう大人も同然なんだから責任を持ちさい」と、それぞれのステイタスに設定された暗黙の理想像に向かってみんなが進んでいたと感じます。
学校では入学すれば卒業する事がゴールで、社会では会社に入れば定年まで職務を全うすることがゴール、女性であれば結婚がゴール(もはやオールドファッションな考えですが)と、常にゴールが定められていたように思います。 実際には、もっといろんな道はあるのだけど、基本的に多くの人はこれまで当たり前に敷かれたレールの上を沿って人生を歩んでいるようにも思えます。枠の外にはみ出している子は、迷惑な規格外として捉えられ、あたかも個性が悪者のような環境が今だに少なからず存在しているのではないかと思います。
そんな息苦しさを感じた方の中には、必然的に海外に目を向ける人が多いのではと思います。海外に行くと行っても、いろんな方法があり、中でも比較的抵抗が少ない選択肢が、留学もしくはワーホリだと思います。そしてワーホリで行く多くの方は、ワーホリを満期終了することがゴールで、終了後は日本に戻り現実世界が待っていると、捉える人が多いように思います。
私の友人のお話しをさせていただきます。 ロンドンのアートスクールに通ってアーティストを目指していたけど、結果ノルウェー人の彼氏ができ、ノルウェーに移住した彼女。(EUパスポート保持者)その後、某有名カウチサーフィングの会社を通じてインテリアデザイナーとして働いています。彼女は、「これまでは、自分のイメージをキャンバスに描いていたけど、今はそれが、空間に変わっただけ」だと、話していました。
ゴールを設定して、クリアーしていく楽しさもいいけど、ワーホリに行った時くらいは流れに身を任せて、「面白そう!」と思ったことに身を投じることで、自分も知らなかった自分に出会えることもあります。 私の友人のように、アートスクールでの経験が、違う形で生きる場合もあります。もしかすると、ワーホリが「入り口」になって、あなたが想像もしないような未来が待っているかもしれませんね。
ライター:森永@ノルウェー