ノルウェーを含む北欧は、ヨーロッパの中でも特にキャッシュレスの進んでいる地域です。
そのためノルウェーでは、ありとあらゆる物をカードで支払う事が可能です。駅のトイレから始まり、自動販売機でもカードが殆ど使用可能です。会社内の食堂などでは、カードのみ使用可能という所も珍しくありません。
財布売り場に行くと、日本のようにしっかりと小銭入れが設けられている財布よりも、カードケースやカードを入れるスペースが、小銭入れに比べて多かったりします。女性用の財布もそうです。
また、携帯電話のカバーのデザインが、カードを入れられる仕様になっている物を多く見かけます。一番驚いた事は、携帯のカバーの中にクレジットカードを入れている人が本当に多いこと。便利ですし、携帯とセットにする事で忘れる確率が低くなるのかもしれませんが、私個人は携帯と財布をセットにするのは、どこかに置き忘れた時のリスクがあまりにも高いなぁ、と思ってしまいます。
また、多くの人はカードに合わせて、少しだけ現金も持ち合わせている人が多いように思います。もしもの時は必要ですから。
さて、ここまでカード社会になっていると、お子さんのいる方が気になるのは子供のお小遣いなどではないでしょうか。
おそらく現金で渡している家庭もあるかと思いますが、私のノルウェー人の友達を例にとってみます。彼女の子供は、日本でいう中学生。彼女の子供は、お小遣いを含め必要なお金は全て、子供の口座に振り込んでいます。子供専用のカードというのがあり、一回に引き出せる限度額や、振り込める限度額が決まっています。何処で何にいくら使用したのかを親は簡単にその情報にアクセスできるので安心だというのがカード会社の売りです。
便利で、キャッシュレスにはいい点もありますが、悪い点ももちろんあります。例えば、毎回カードで支払う事で、本当のお金の重さを把握できないリスクが出てくるということです。
こんなにも幼い頃からカード支払い(デビットカード)に慣れていると、クレジットカードを契約した時に、同じ感覚で使ってしまい、今支払ったお金が自分のお金なのか、空想のお金なのか区別がつかないようになってしまう可能もあります。
ノルウェーのテレビ番組では、借金まみれなのに、自覚がない人をどうにか救おうという番組があります。毎月どのくらいお金を使い、クレジットカードがマイナスになっているのか、本当のお金を使って本人の目の前に提示します。毎回聞くセリフは、「こんなにも、使っているなんて信じられない。」「このお金は何!?」(クレジットカードがマイナスになっている分のお金について)、などなど。自分が使っているにも関わらず、自覚がないのです。時々恐ろしくなるこの番組。カード社会が実生活に及ぼす、負の影響です。
ノルウェーに来た際は、カードもとても大切ですが、現金と併用する方がいいかも知れません。
ライター:森永@ノルウェー