ヨーロッパにあるのがシェンゲン協定により国境検査なしで国境が超えられるエリア、シェンゲン領域です。域内各国間移動の自由化を目的に国境管理を「シェンゲン国境規則」で定めたもので、「域外国」人となる日本人に対してビザ免除で短期滞在を認める期間は『あらゆる180日の期間内で最大90日間』と規定されています。この90日間にはシェンゲン領域をトランジットで通過する場合を含みます。なお、シェンゲン領域とされる国は以下の通り。
アイスランド,イタリア,エストニア,オーストリア,オランダ,ギリシャ,スイス,スウェーデン,スペイン,スロバキア,スロベニア,チェコ,デンマーク,ドイツ,ノルウェー,ハンガリー,フィンランド,フランス,ベルギー,ポーランド,ポルトガル,マルタ,ラトビア,リトアニア,ルクセンブルク,リヒテンシュタイン
このうち、日本とのワーキングホリデー制度があるのはフランス、ドイツ、デンマーク、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スロバキア(6月から開始予定)、オーストリア(7月から開始予定)の8ヶ国です。
ここで注意したい点はビザの有効期限。ワーキングホリデービザの有効期間は「入国日」よりカウントされるのが一般的ですが、シェンゲン領域の場合には「入域日」が起算日となるのです。たとえば1年間有効のフランスのワーキングホリデービザを取得した後、シェンゲン領域であるドイツやスペインを1ヶ月間旅行してからフランスに入った場合、既に残りの有効期限は既に11ヶ月間になっているということ。加えて、ビザ免除で滞在できる「90日間」はワーキングホリデービザの有効期限に「既に含まれている」ため、ワーキングホリデービザでの1年間の滞在の後に90日間の滞在延長できるわけではありません。
また、ビザの有効期限が満了した時点でビザ発給国からではなく、シェンゲン領域から出ていなければいけない点も忘れてはいけません。つまりワーキングホリデービザで渡航してシェンゲン領域各国を旅行する予定がある場合、ビザの有効期間中に旅行を終えておかなければいけないということになるのです。
ところで、シェンゲン領域でのワーキングホリデービザは各国毎に発給されるため、このビザを持っていると発給国に滞在しなければいけないイメージが有りますが、領域内の移動は自由ですので実際には発給国以外に居住・滞在することも可能です。ただし、アルバイト(就労)はビザの発給国以外では認められません。
このことから、アルバイトをする予定がない場合には領域内の最終目的国以外のワーキングホリデービザを取得するという選択肢も生まれてきます。もっとも、ビザの有効期限(1年間)の生活・滞在費用を事前に確保していることが前提となりますが。
ここで少し「裏技的な情報」をご紹介しましょう。ワーキングホリデービザ(1年間有効)を出国前に日本で発給受けた場合、シェンゲン領域内には1年間滞在することができるようになります。実はこれをさらに延長するための方法が一つあります。ヒントはドイツのワーキングホリデー。
他国とは異なり、ドイツの場合には日本国外からのビザ申請が認められています。つまりビザ免除で滞在できる期間を利用して予めシェンゲン領域を旅行し、この90日以内にドイツのワーキングホリデービザを申請・取得することで実質的に「ビザ免除期間 + ワーキングホリデー期間」の長期滞在が可能になるというもの。ただしビザ申請における日本語でのサポートが期待できない上、ビザ申請に必要な書類を事前にキッチリ揃えておく必要がありますので、少しハードルは高いかも。
ヨーロッパのワーキングホリデー。イギリスとアイルランドはシェンゲン領域ではありませんので事情は異なりますが、それ以外の国では制度を上手に使えば行動範囲はグッと広がります。ワーキングホリデーを活用してヨーロッパ各国の旅を楽しんでみませんか?