首都ブラチスラバには日本語を教えている大学がある関係か、日本についてとても良く知っていたり、日本へ住んだことがある人とよく出会います。 また、スロバキア人主催のコミックサロンというイベントへでは日本のアニメのコスプレを楽しむ若者が訪れ、スロバキア人運営の空手や合気道、囲碁クラブなどもあります。
さらに近年は日本人のいる飲食店がいくつもできたことで日本人と接したり、日本食を知る機会がますます広がり、またそれらのお店のPRによって型どおりだったものから、より素朴で等身大の日本のイメージが発信され始めているように感じます。
それでも「あなたが初めて話す日本人です」とおっしゃる方がまだまだ大勢います。 スロバキアの在住の日本人は300人弱。まだ珍しい存在(?)と言っても良いでしょう。 特に日本通というわけではない人々にとっては、身の回りで目にする日本の物や、メディアで見た情報、学校で勉強したこと等が日本のイメージになるのだと思います。
興味を持って聞かれたりすることの中には、日本のテクノロジーや宗教観、交通(満員電車、新幹線など)、サブカルチャー、猫の島、働き方、自然災害や歴史(原爆)のこと、など色々とありますが、今回は私のなかで言われて個人的に印象的だった『スロバキア人の知る・知りたい日本』について書きたいと思います。
学んで知っていること:
筆者が一番よく遭遇し、好きだなぁと思うのは、数を数えている時(掛け声や、カウントはどうしても日本語が口に出てしまいます)、向かいにいるスロバキア人が参加してくることがあります。「いち、にい、さん、し、ご、ろく・・・!」 子供の頃に柔道で習ったと答える人が多いです。
もうひとつは「日本のどこから来たの? Honshu,Kyuushuu,Hokkaido,Shikoku…? 」と日本列島の主な島を正しい発音で言えること。 これは学校で習うそうですが、地球の反対側の国のことで勉強したことをいつまでも口に出して言えるということに驚きます。
物から知っていること:
カメラ、車、モーターバイク、音響機材などは言うまでもなく、世界中で日本製品があふれているかと思いますが、 知り合いの大工さんは日本の砥石と鋸を持っています。同僚は日本の包丁を自分で研いで使っています。
他ののどこの物とも全然違って質が素晴らしく、いつまでも使えるそうで 二人とも「自分で日本から取り寄せたんだ」、と大切そうに見せてくれました。
食について知っていること:
日本人の食。日本人の長寿は良く知られています。
それに加え見た目の若々しさ、体型のスリムさの秘密が食べ物やお茶にあるのではと思っている方は多いようです。 年々健康を意識した食事をしたいと思う人が増えていて、廃れるかけていた市場に通う習慣が若年層を巻き込んで活気をもって復活しています。
意識の変化と並行するようにエキゾチックな食べ物への関心が高まり、我々に馴染みのある食材と基本調味料が様々な場所で購入できるようになりました。 十数年前はお寿司を作ってご馳走しても、目の前で魚を避けて、巻きずしは海苔を外してから食べるというようなこともありました。 この頃はまだ1軒だけだったアジア食材店くらいでしか日本の調味料は手に入りませんでしたが
当時、隣の部屋に住むマクロビオティック(日本人が組み立てた食事法)を実践する年配女性と知り合い、たまり醤油、味噌、梅干し、昆布、わかめ、などが並ぶBIO(オーガニック)のお店へ 連れて行ってもらいました。チェコスロバキア時代にマクロビを勉強されたそうで、チェコ語に翻訳された色のあせた本を見せて話をしてくれました。
自分の知らなかった日本起源のものをこのようにスロバキアの人を通して知ったのは興味深いことでした。彼女は亡くなりましたが今でも娘さんとは食を通じてずっと交流が続いています
『出会った人がその国の印象になる』(それは相互に言えること)とはよく言われますが、本当だなぁと日々感じ生活をしています。
2020年は,日本とスロバキアが交流を開始して100年となる節目の年で日本企業や個人からの寄付のもと大使館経由でブラチスラバに沢山の桜が寄贈・植樹されました。
将来は、花見 Hanami という日本語や風習がスロバキアの人々にとって親しみ深いものになるかもしれませんね。
ライター:ごんちゃん(ごん助らーめん)
https://www.facebook.com/gonnsuke.ramen/