日本は、年齢を重ねるほど、転職や社会と外れると次の仕事が見つかりにくいので、途中で人生の方向転換をすることは、とても難しい社会です。
様々な仕事を転々とすればするほど、ほとんどの場合は、マイナスになり、正社員になることさえ難しい「リベンジ出来ない社会」とも言われますが、一方でフランスは、国境を越えた転職も普通で、会社は特に、転職を重ねると様々なキャリアを積んでいると見られ、採用試験でプラスに働くことの方が多い社会です。フランスの場合、定年前の10年は難しいですが、それより若ければ、実力や経験があれば、正社員の試験に年齢はあまりハンディではない場合が多いです。
人生は分からないもので、普段から自分を高める努力をし、チャンスが来た場合は、決断が早く、あまり考えないで、チャンスの船に乗っていく人の方が、人生が上手くいっているように思います。
フランスでは日本人からしたらびっくりするような人生の方向転換をする人たちがたくさんいます。最近、筆者の身近でも、大企業に勤めていた知人が、いきなり仕事をを辞め、先行きがどうなるか分からないカメラマンに転身しました。また、筆者の夫も、今年いきなり自分が活躍出来るポジションのチャンスが巡ってきたので、4年間勤めてきた仕事をしながら同じ系列の自分が望む仕事の採用試験を受けて合格。我が家は夫の職場が秋から変わることになり、引越しをします。一方で同じ時期に、夫の同僚は、一年間の任期付きのポジションに移動が決まり、任期終了後の次の仕事を考えることもなく、夢に進んで行きました。
筆者は日本での転職で、たくさんの職歴があることで苦しんだ経験から、夫にはどんなに苦しくても「二足のわらじ」で、今の仕事を続け、採用試験を受けることを強くアドバイスしました。
フランスでは、給料ぐらいの失業保険が一年間もらえるので、仕事をやめて一年かけて次の仕事を考える人が多いのです。しかし、いつ仕事が決まるか分からない世の中なので、生活に困らないように正式な仕事をしながら、夢や転職活動にチャレンジした方が絶対に安全です。
また、何かの一芸や資格等があって、もし、夢や転職がダメになっても、自分には生活をきちんとやっていけるだけの能力があるという場合は、怖くないと思います。
若い人は、なかなかそのような経験や力がなかったり、日本の仕事を辞めなければいけない場合もあると思いますが、その場合は、食べていけるだけの「フランス語」や他の外国語、技術等を現地で身につけるのだという強い覚悟でフランスで自分の能力を高める生活をすれば、フランスでの仕事探しや、日本での外国語関連の仕事も門戸が開くかもしれません。
人生は、夢だけを追いかけて成功する人は一握りです。ほとんどの人が、夢だけでは食べていけません。夢に突き進んで人生の扉が開かない場合は、自分には別な道があるのだと思って、期間限定でうまくいかなければ、いつまでも固執しないということも大事かもしれません。
ライター:Miyabi@フランス