スロバキアにワーキングホリデーに来ているというと、スロバキア語が話せる、もしくは英語が相当堪能なんだろうと思われがちですが、私がスロバキアにワーキングホリデーに来たきっかけは、「どうせ英語ができないから英語圏に行ってもだめだ。」というところからでした。
英語ができるわけでもなく、また英語の習得のためにワーキングホリデーに行くわけではないのでオーストラリアやカナダでなく、珍しい国に行って特別な経験をしたいと思っていました。
実際スロバキアに行ってみると、思っていた以上に複雑な歴史背景や独特な文化、周辺国との関わりなど、今までまったく知らなかったことを知ることができ、スロバキアでしか出会えないような人々(日本語の話せるスロバキア人やポーランド人など)にも出会うことができました。
またスロバキアはヨーロッパ大陸の真ん中に位置しており、ヨーロッパ全土で起こっていることにも目を向けるようにもなりました。それらの事は言葉がわからなくても自分でニュースを見て調べながら英語やスロバキア語を少しずつ覚えることもできます。
日本にいれば外国語の必要に駆られることはありません。私は必要性を感じなければ何事も手につかない人間なので、日本にいるときは他の国の歴史や言語について全く勉強していませんでした。ですがスロバキアに来ればやはり現地の言葉を使って話してみたいと思いますし、歴史のことを知りたいと自然に思えてきます。こちらに来て、言語の習得は目的ではなくて手段なのだということを実感しました。英語ができないから行かないのではなくて英語ができないなら思い切って英語圏ではない国へ行ってその土地の言語を勉強するという選択肢もあります。スロバキア語を勉強すると、同じスラヴ語から来ているチェコ人やポーランド人とも互いに理解することができると知り、ヨーロッパ大陸の広さを感じました。
明確な目的がないことや言葉がわからないからといって渡航を諦めるよりもとりあえず行ってみる、という気楽さも大事だと思います。1年間のワーキングホリデーで何が出来るのか、語学を完全にマスターするのは1年間では難しいかもしれないですが、語学をマスターしたいと思える環境に身を置くことが何より大事であったと思います。そして、たくさんの時間があるなかで、勉強だけではなく気の赴くままに旅をしたり読書をするのも日本ではなかなかできないことかも知れません。
語学留学よりも旅行よりも自由なワーキングホリデーだからこそ、じっくり自分と向き合い、悩んだり、好きなことを見つけることができます。そんな経験ができるだけでも渡航する価値はあるのではと思います。
ライター:かわにし@スロバキア