フランスの大統領選の第一回目の投票が、先週末に行われました。筆者がフランスに来て、初めて目にする大統領選は、とても興味深いものがあります。日本では、政治と国民が遠い世界で、筆者自身は、日本ではあまり興味がありませんでした。
ところが、フランスでは国民が大統領の投票をダイレクトにするのと、大統領の考え一つでビザや税金の問題等、ストレートにフランスに滞在する外国人にも自分の問題となるのでかなり深刻です。
日本では選挙の前になると、候補者の宣伝の車や街頭演説等で大騒ぎですがフランスはとても静かです。街では候補者の応援の人がビラを配る程度で、候補者が来る街の会場ぐらいが一時の間、賑やかです。そのかわり3回ほど夜の9時から夜中の12時半ぐらいまでのとても長い候補者の激論が報道されます。
第1回目の討論会は、当選しそうな候補者の5人で行われていたので、とても深い内容でおもしろかったです。ところが、全部の候補が討論会に出ないと平等ではないという批判から、2回目からは、候補者11人の討論会になったのですが、ほとんど可能性のない素人のような候補者が入ると、グチャグチャな討論会となり、見ている方も辛くなるという難点がありました。
第3回目の討論会は、一人15分の個別な討論会で、最後に若い頃の候補者の写真が出てくる等、視聴者が飽きないような工夫があり、とてもおもしろかったです。
フランスの大統領選挙は、第1回目の投票で候補者が過半数の票を獲得すれば、それで決まりですが、過去にそういう例はないので、第1回目の投票で2人の候補に絞り、討論会、第2回目の投票で大統領が決定するのが通常の流れです。
今回、第1回目の投票で勝ち残ったのは、中道派<EM!(前進!)>のエマニュエル・マクロン氏、極右のマリーヌ・ ル・ペン氏でした。
最終的に、マクロン氏が大統領になるのではないかと言われていますが、もし、39歳のマクロン氏が大統領になれば、フランスの歴史上、一番若い国のリーダーになります。フランス国民が若いマクロン氏に大統領を任せるという選択をしたならば、若い力を信じる国民のチャレンジは、とても素敵だなぁと思います。
マクロン氏自身は、投資銀行やオランド政権での経済相の華麗なキャリア、政治家の慣習を好まない、通訳もいらないほど流暢な英語を話し、奥さんは20歳以上年上の自分の先生で、ドラマのようなロマンスの末に結婚等、今までのフランスの政治家とは違うフレッシュさと、自己を強く貫く、かなり個性的なおもしろい存在として、フランスでは前から注目されていました。
フランスは、治安や経済状況が悪く、若者がチャレンジ精神を失っている今だからこそ、前例をぶち破り、若い真っ直ぐな志やチャレンジ精神で常にポジティブに道を切り開いて国をパワーアップするような元気な大統領が必要なのかもしれませんね。
ライター:Miyabi@フランス