古くて新しい街。それが、私が最初に受けたウッチの印象です。
元々は繊維産業で栄えた街でしたが、時とともに繊維産業は衰退。しかし、そのまま街全体が衰退するのではなく、再開発をして蘇ったのがウッチです。今では、工場跡地などが現代アートの美術館やショッピングセンターに生まれ変わっています。
ポーランド最大の都市であるワルシャワから来たせいか、中心部でも人通りも車通りも少ないウッチは何だか着いたらホッとしました。観光案内所のお姉さんは「ワルシャワからそんなに遠くないのに、観光客が少ないのは残念だ。訪れる外国人もほとんどはヨーロッパ人で、あなたのようにヨーロッパ外から来る観光客は珍しい」と言っていました。実際に2泊3日の滞在では白人以外の人を見かける事はありませんでした。
工場跡地でもマヌファクトゥーラは特に規模が大きく、ホテルやレストランも併設されています。繊維産業が盛んだった頃のウッチの様子を知りたい方は、マヌファクトゥーラ内の一角が昔の様子をそのまま残した博物館になっているので、見学するのも良いと思います。マヌファクトゥーラすぐ横にある市歴史博物館は、工場主であったポズナンスキの邸宅を利用しており、内部にコンサートホールまである事から、繊維産業が多くの富を生み出していた事を実感できます。
中心部には薬局博物館もあり、ポーランドの著名な薬剤師であったジャン・マスツィンスキーの像などがありますが、全体的にはスロバキアのブラチスラヴァにある薬局博物館と似た感じで、陸続きのヨーロッパでは、薬剤の情報などは古くから国家を越えて伝達していたのだなと感じます。
少し郊外には地質学博物館があります。特に石の展示は圧巻で、色も形も様々な石が1000種類以上はあるように見受けられます。訪問時、入館客は私のみでしたが、ここは大学内にあるためか、大学教授がおり、石初心者の私に対して熱弁をふるってくれ、さらに石の本をプレゼントまでしてくれました。
観光客は少ないものの豊富な歴史と最新の現代アートまで揃った街ウッチ。次回は引き続き、この街の魅力をお伝えします。
ライター:白神仁士@ポーランド(ドイツのワーキングホリデービザで旅行中)