失業率が依然と高いフランスでのアルバイト探し、外国人である私達がこのような状況のなかで仕事を見つけることは容易なことではありません。
まずはフランスでの労働に関する基本情報について少し触れておきたいと思います。フランスの現在の法定最低賃金(SMIC)は時給で9.67ユーロ、週35時間労働をベースにした場合は月給で1466.62ユーロで、この金額はいずれも額面給与ですので社会保障費などを差し引くと実際に受け取れるのはこの約2割減の金額となります。現在フランスでは雇用労働者の約1割がこの最低賃金の水準で就労しています。またフランスの失業率は約10%、若年層の間ではこの率がさらに高くなり、高学歴であっても就職出来ない人が非常に多いという状況です。
さて、ここからは私がどのようにしてフランスで仕事を見つけたのか書いていきたいと思います。ちなみに私の場合は既経験分野での仕事や日系企業での仕事という具合に分野を絞って職探しをしたのではなく、フランスで自立した生活を送るために選り好みせずとにかく仕事に就くということに重点を置き就職活動を始めました。
まず、一般的にフランスで就職活動をする際に準備するのがCV(履歴書)とLettre de motivation(動機書)です。ところが、私のフランスでの初めての就職先は飲食店で、自分が今まで働いたことのない分野だったので動機書は作成せずに自己紹介のつもりで履歴書のみを持参して、直接お店に持ち込み責任者の方(フランス人)に会いに行きました。初めてこのお店に足を運んだ時には責任者が不在で、対応してくれた従業員の方に履歴書を置いていくように言われましたが
(ここで履歴書を置いて帰ったら責任者が私のCVに目を通すことはないかもしれない)
と思い、翌日改めてこのお店を再訪問しました。この時に無事に責任者の方とお会いして直接お話をすることができ、ちょうどこのお店で働いていた従業員の一人が退職予定だったので1週間のトライアル期間を経て正式に採用していただけました。
私は良いタイミングで飛び込み訪問をしたことで、この時は運良く採用につながりましたが、フランスはコネ社会です。私もフランスではこの飲食店を皮切りにこれまで様々なお仕事を経験してきましたが、この初めの職場以外はすべて紹介によるものです。
お店の常連客の方から彼女の身内の方を紹介され、その方の働く会社で働いたり、別の常連客の方の職場で働いたり、元同僚の職場で働いたり、そこの職場の方からまた別の職場の方を紹介されたり…。未知の分野でのお仕事ばかりでしたが、どこへ行っても全力を尽くし、仕事に真剣に取り組む姿勢を見せることで人材が必要な時に何度も呼んでいたたり、口コミで私の存在を広めていただいて仕事の話が定期的に舞い込むようになりました。初めはどこで働く際にも期限付き契約という形でしたが最終的には無期限契約(CDI)を提案してくれる雇用者が現れ、現在はその職場で毎日楽しく働きつつ、空いた時間に副業までしています! この国では人とのつながりを持つことで仕事を見つけるチャンスが日本では考えられないほどどんどん広がります。
最後に、フランスでの就職活動に関してもうひとつだけ付け加えておきます。フランス人は自分のスキルをアピールすることに関してとても強気な人が多いです。例えば フランス人は面接の際によく得意げに “自分は○○ができます”等とアピールしますが…ふたを開けてみれば実際はたいしたレベルではないなんてことも…! 私達外国人がフランス人と同じ舞台で戦って採用を勝ち取ることはただでさえ容易なことではないのに、あまりに謙虚になりすぎて自分を過小評価してしまっては彼らから勝利をつかみ取ることはできません! 自信を持って堂々と自分をアピールすることも重要ですよ!
ライター:たぬき@フランス