フランスで自分が変わったことは、学校の時の勉強を趣味として振り返ることが多くなったことです。
フランスに来てから、何十年ぶりで本格的なソーイングを楽しんだり、フランスの食材で栄養のバランスを考えたりする時に、学校の家庭科にあるような基礎から書いてある実用書を趣味で読書し、自分で考えながら作るようになりました。フランスには、すばらしい食材や料理方法、ソーイング技術がたくさんあり、技術のようなDIYも充実していて、「物作り」は楽しい趣味です。
学校で習った世界史やアート関連の本物を見るケースがフランスでは多いのですが、何十年も前に勉強した歴史の本、あらゆる芸術書、映画等を趣味で振り返ることも多くなりました。その発展で、建築方式や遠近法まで、学校で習った知識を、趣味でもう一度振り返って考えるようにもなりました。
例えば、ミロのヴィーナスやモナ・リザ等の本物を見た時に、以前の自分は、文系的な見方が好きでした。ところが、フランスに来て変わったことは、時代によって、絵一つでも、遠近法やバランスが違っているのを目の前で見ました。そこから、かつて大嫌いだった数学そのものが楽しい趣味になりました。
数学の黄金比の「1.618」がバランスの取れた美しいサイズであると意識するようになり、フランスで夏にたくさんある向日葵の花を見ても、黄金比のことまで、考えてしまう自分がいます。
フランスは、大自然が多く、星や生物、物理等の知識が役立ち、使ったことがない化粧品等を見れば、安全性の確認で、化学の知識を振り返ることも楽しい趣味になります。
外国語を勉強すれば、日本語のすばらしさや日本文化のすばらしさに気づき、そちらの知識も趣味で増やしていくのが楽しくなります。
日本で教育を受けた時代は、受験競争がメインで、嫌いになってしまったことがたくさんありました。大人になると、学校の勉強にはあまり関係のない能力が評価され、学生時代に苦労して勉強したことが無縁になり、忘れていくことが多かったように思います。
ところが、フランスで生活すると、学校の勉強の基礎がトータル的に趣味や生活のあらゆる場所で生き、さらに発展出来る可能性があることに気がつきます。
フランスでは、趣味と仕事を両立することが出来る社会です。自分の好きなことを一つ趣味で追求するも良し、私のようにどんどん好きな趣味が増えていくのも良いと思います。趣味を通して、今までの自分よりもさらに新しい世界が見えるかもしれません。